ゲームプロモーションビデオ（PV）は、ターゲット層であるユーザーにゲームの魅力を伝えるための非常に重要な手段です。その中でも、ストーリーテリングを駆使したPVは、視聴者の感情に訴えかけ、惹きつける力があります。本記事では、ゲームPV制作においてストーリーテリングを効果的に活用するためのノウハウを紹介します。

1.ゲームPVにおけるストーリーの力

ストーリーテリングがもたらす3つの効果

ストーリーテリングとは、ストーリー（＝物語）が持つ、惹きつける力を利用し、伝えたい主張やメッセージを印象的に表現する手法のことを言います。この手法をゲームPVに取り入れることで、感情に訴えかけ、強い印象を残すPVとなるでしょう。ゲームPVにおけるストーリーテリングの効果を３つ紹介します。

1. 感情的なつながりを生む ストーリーテリングのゲームPVは、視聴者がキャラクターや物語に共感を持ちやすくなります。共感は視聴者をゲームの世界観へ引き込み、ゲームや登場するキャラクターへのポジティブな印象を残すことが可能です。
2. 記憶に残る映像を作る ストーリーのあるPVは、ただの映像よりも視聴者の記憶に残りやすい特徴があります。記憶に残るシーンが多いほど、ゲームの認知度や話題性も向上します。
3. 購入意欲を刺激する 心に響くストーリーが、ゲームをプレイしたいという気持ちを喚起します。視聴者に「自分もこの冒険を体験したい」と思わせることが大切です。

ゲームPVにおけるストーリーの重要性

ゲームPVは限られた数分という時間（映像の尺）でゲームの魅力を伝える必要があります。そのため、映像による視覚的要素とストーリーを巧みに組み合わせ、視聴者を惹きつけることが求められます。このプロセスにおいて、強力なストーリーがPVの中心的役割を果たします。

成功事例から学ぶ

多くの成功したゲームPVには、共通して魅力的なストーリーがあります。ここではストーリーテリングのゲームPVを2つ紹介します。

地球防衛軍6 1stトレーラー

キックファクトリーでは、株式会社ディースリー・パブリッシャー様の「地球防衛軍6」1stトレーラーを制作しました。「滅びかけた地球、そして人類は生き残りをかけて戦いを繰り広げていく」というストーリーを、インパクトあるフレーズをテロップのみで表示するカットと、激しい戦闘を繰り広げるシーンで視覚的なギャップを作りながら表現しています。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 3rd トレーラー

任天堂の「ゼルダの伝説」シリーズのPVは、壮大な冒険世界を印象的な音楽とともに描き、視聴者の想像力を刺激します。動画の「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 3rd トレーラー」では、冒頭でオープンワールドの美しい景色を流し、中盤から王国の歴史の謎をナレーションで言及しながら、テンポよくアクションシーンやキャラクターシーンが組み込まれています。

2.ゲームターゲット層のニーズ分析

ゲームジャンルによるニーズの違い

ゲームPVのストーリーテリングは、ゲームのジャンルによって異なります。アクションゲーム、ロールプレイングゲーム（RPG）、シミュレーションゲームなど、それぞれのジャンルでターゲット層の求める要素が違うため、ストーリーもそのニーズに合わせた形にする必要があります。

例えば、アクションゲームのPVでは、視覚的に強烈なアクションシーンを前面に押し出し、テンポのよい構成にし、視聴者にゲームのスピード感や迫力を伝えることが求められます。一方で、RPGゲームのPVでは、キャラクターの成長や物語の深さを見せることが重要です。視聴者がキャラクターに感情移入し、その物語に引き込まれるような要素を強調することが求められます。PRGゲームの方がストーリーテリングと相性が良いとも言えますが、プレイヤーが長時間没入できる壮大な物語を、PVの限られた時間内でどう表現するかがポイントとなります。 

視聴者心理を理解する

ゲームPVにおけるストーリーテリングの成功には、視聴者がどのような感情や体験を求めているのかを理解することも重要です。例えば、冒険や戦闘を楽しみたいと思っている視聴者には、緊迫感のあるシーンや大迫力のアクションシーンを強調することが有効です。一方で、ストーリー性を重視する層には、キャラクター同士の対立や感情の起伏を描いた場面が心に響く、となります。ゲームの持つ特性やニーズを把握し、下記に挙げる３つの感情を引き出すPVになると良いでしょう。

1. 共感 自分と重ね合わせられるキャラクターや状況、日常生活の悩みや喜びを描くことで、視聴者の心を掴むことができます。
2. 期待感 ゲームの世界で何が起こるのかを期待させる要素です。PVの中でわずかなヒントを出すことで、視聴者に「この先が見たい」と思わせるような構成が重要です。
3. 満足感 ゲームをプレイすることで得られる達成感や爽快感をPVで表現し、視聴者が「自分にとっての報酬」を感じられるシーンを盛り込むことが効果的です。

3.ストーリーテリングのPVにするための構成例

①導入：視聴者を引き込む

ゲームPVの導入では、最初の数秒で視聴者の心を掴むことが最も重要です。PVの続きを見てもらうためにも、インパクトのある要素を組み込む必要があります。例えば、

• キャッチーなビジュアル
• 興味を引くナレーションやテロップ 
• 壮大なBGM 

といった要素で、強い印象を与えるだけではなく、「どんなゲームなんだろう？」「この世界で何が起こるのか？」という興味を起こし、視聴者に続きを期待させる手法もおすすめです。

②展開：ストーリーを深める

導入で興味を引いた後は、ゲームの特徴や物語の中核を伝えます。この部分では、キャラクターの動機や目的を明確にし、視聴者にゲームの世界観をより深く理解させることで、ゲームの世界観に引き込んでいきます。視聴者が物語に没入し、ゲーム内でどんな冒険や挑戦が待っているのかを予感させるシーンを織り交ぜることが重要です。例えば、戦闘シーンや謎解きの瞬間を見せることで、視聴者が具体的にイメージしやすくなります。

③クライマックス：感動体験を予感

物語の山場を盛り上げ、視聴者に、このゲームにより生じる感動体験を予感させます。ゲームPVのクライマックスは、視聴者の心を動かす重要な部分です。感動的なシーンやアクションの一部を描き、視聴者に強い印象を与えることで、そのゲームをより体験したい、という気持ちを高めます。特に、登場人物の心の葛藤や決断を描いたシーンを一部分見せることで、視聴者の記憶に残りやすくなります。高揚感を演出するサウンドトラックや音楽の盛り上がりとともに映像を切り替える演出や、一言で視聴者を魅了する心に残るキャッチコピーや台詞などが効果的でしょう。

④結論：視聴者の行動を促す

最後に、視聴者に具体的なアクションを促す結論部分では、発売日の告知や予約特典を紹介し、情報を印象付けます。また、公式サイトやSNSへの誘導などもわかりやすく表示しましょう。印象的なタグラインやロゴの表示によって、ブランドの記憶を確実なものとします。

4.映像とナレーションの組み合わせ方

映像の役割

ゲームの世界観やキャラクターを生き生きと表現する映像とナレーションやBGMの組みあわせにより、視聴者はゲームの雰囲気を感じ取ることができます。

ゲームPVを見ただけで、ゲームのジャンルやテーマ、伝えたいこ都の全体像が即座に理解できるような映像構成を追求することが重要です。

ナレーション・BGMの効果的な活用

ナレーションやBGM（バックグラウンドミュージック）は、映像と並ぶ重要な要素です。ナレーションは、ゲームのストーリーやキャラクターに深みを与え、視聴者がその物語に入り込むための手助けとなります。特に、感情的なシーンや重要なストーリーの展開では、ナレーションを通じて視聴者にその情感を伝えることができます。

また、ナレーションは視聴者の感情に働きかける重要なツールでもあります。ナレーションのトーンやテンポを変えることで、物語の盛り上がりや緊張感を高めることができます。

BGMは、ストーリーテリングにおいて感情的なトーンを設定する役割を果たします。音楽の使い方によって、視聴者は次に起こる出来事に対する期待感を高めたり、逆に緊迫感を煽られたりします。例えば、緊張感を高めるためには、低音が強調されたスリリングな音楽を使う一方で、感動的なシーンには優しいメロディを選ぶことで、視聴者に感情的な影響を与えることができます。

映像とナレーションのバランス

映像とナレーション、BGMを組み合わせる際のポイントは、それぞれが独立して目立つことなく、ストーリー全体を通して調和していることです。それぞれが互いに補完し合い、視聴者の感情を引き出すためのシナジーを生み出すことが重要です。映像とナレーション・BGMのミスマッチや、BGMが過度に強調されてナレーションが聞こえにくくなってしまうことなどが起こると、視聴者はそれまで没入していたPVの世界観から一気に離脱してしまう原因になります。

5.まとめ

ゲームPVにおけるストーリーテリングは、単なる映像やカットシーンの羅列ではなく、視聴者の心を掴み、感情的なつながりを生み出す重要な手法です。ストーリーを通じて、ゲームの世界観やキャラクターを効果的に伝え、視聴者に深い印象を与えることができます。

効果的なストーリーテリングには、ターゲット層のニーズに合わせた構成や、映像、ナレーション、BGMのバランスが重要となります。視聴者が感情的に共鳴し、物語に引き込まれることで、ゲームへの関心は高まり、購入などのアクションへと繋がるでしょう。

6.Q&A

Q1: ゲームPVにおいて、ストーリーテリングはどのように効果的に活用できますか？

A1: ゲームPVにおいて、ストーリーテリングは視聴者の感情を引き出し、ゲームの魅力を深く伝えるために活用されます。物語を通じてキャラクターや世界観を紹介し、視聴者が感情移入できるようなシーンを描くことが重要です。

Q2: どのようなゲームジャンルにストーリーテリングが特に効果的ですか？

A2: RPGやアドベンチャーゲームなど、物語性が強いゲームジャンルにストーリーテリングは特に効果的です。これらのゲームでは、登場人物の成長やドラマを伝えることで、視聴者の関心を引き、感情的に引き込むことができます。

Q3: ゲームPVの成功事例として、どのようなものがありますか？

A3: 「The Last of Us」や「Red Dead Redemption 2」などのゲームは、感情的なストーリーテリングを駆使して視聴者を引き込みました。これらのゲームのPVは、物語やキャラクターに深みを与えることで視聴者の心を掴みました。

Q4: ゲームPVにおいて映像とナレーション・BGMをどのように組み合わせるべきですか？

A4: 映像、ナレーション、BGMはそれぞれ独立して役割を持ちながらも調和することが重要です。映像で視覚的にストーリーを伝え、ナレーションで物語を補完し、BGMで感情的なインパクトを与えることで、視聴者に強い印象を残します。

Q5: ゲームPVのストーリーテリングを改善するためのポイントは何ですか？

A5: ゲームPVのストーリーテリングを改善するためには、ターゲット層のニーズを理解し、それに合わせたストーリー構成を作り込むことが重要です。また、視覚的に魅力的な映像を提供し、ナレーションとBGMを効果的に活用することで、視聴者の感情を引き出し、ゲームの魅力を最大限に伝えることができます。