更新日: TikTok広告のSpark Adsとは?企業とクリエイター双方に効果がある?

TikTokは、企業のマーケティング活動やクリエイターの自己表現において欠かせないプラットフォームとなりました。その中でも、ユニークな広告フォーマットとして注目を集めているのが「Spark Ads(スパークアズ)」です。この記事では、TikTok広告の出稿を検討している企業の担当者様、そしてTikTokで活躍するクリエイターの皆様に向けて、Spark Adsの仕組みや特徴、さらに企業側・クリエイター側双方のメリット・デメリット、設定方法までを詳しく解説します。
目次
1. Spark Adsとは?仕組みと特徴を解説
まずはじめに、Spark Adsがどのような広告フォーマットなのか、その基本的な仕組みと特徴について見ていきましょう。従来のTikTok広告とは異なるアプローチで、より自然な形でユーザーにアプローチできるのがSpark Adsの大きな魅力です。
Spark Adsの基本概要
Spark Adsは、既存のTikTokオーガニック投稿(通常の投稿)をそのまま広告として配信できる仕組みです。企業自身の公式アカウントの投稿、あるいは許諾を得た他のクリエイターの投稿を、広告としてブースト(拡散)させることができます。
これにより、あたかも通常のフィードに流れてくるオーガニック投稿のように広告を表示させることが可能です。通常のTikTok広告(In-Feed Adsなど)が、広告用に別途制作されたクリエイティブを使用するのに対し、Spark Adsは「すでに存在する投稿」を元にする点が根本的に異なります。TopView広告のようにアプリ起動時に表示される広告とも異なり、ユーザーの「おすすめ」フィードなどに自然に表示されるのが特徴です。広告でありながら、ユーザー体験を損ないにくい設計と言えるでしょう。
Spark Adsの特徴
Spark Adsには、他の広告フォーマットにはないユニークな特徴がいくつかあります。
✔️公式アカウントやクリエイターの投稿をそのまま広告化できる
企業は自社のTikTokアカウントで反響の良かった投稿や、ブランドイメージに合ったクリエイターの人気投稿を選び、それを広告素材として活用できます。これにより、広告用に一からクリエイティブを制作する手間やコストを削減できる可能性があります。すでに実績のある投稿を使うことで、広告効果の予測が立てやすい側面もあります。
✔️いいね・コメント・シェアなどのエンゲージメントが保持される
Spark Adsの最も大きな特徴として、元となったオーガニック投稿に付与された「いいね」「コメント」「シェア」「フォロー」などのエンゲージメント(ユーザーからの反応)が、広告配信後もそのまま引き継がれ、蓄積されていく点が挙げられます。広告経由で得られたエンゲージメントも、元の投稿にリアルタイムで反映されるため、投稿が持つ「熱量」を維持したまま拡散できます。
✔️ブランドの信頼性向上に貢献
実際にユーザーから支持されている投稿を広告として活用するため、広告特有の押し付けがましさが少なく、より自然で信頼性の高い情報として受け入れられやすくなります。特に影響力のあるクリエイターの投稿を活用する場合、そのクリエイターが持つファンからの信頼や共感を、自社ブランドへの関心につなげることが期待できます。
2. 企業がSpark Adsを活用するメリット・デメリット
Spark Adsは企業にとって多くの魅力を持つ広告手法ですが、一方で注意すべき点も存在します。ここでは、企業がSpark Adsを活用する上でのメリットとデメリットを具体的に解説します。
メリット
⭕️広告感が少なく、ユーザーの抵抗感が低い
前述の通り、Spark Adsはオーガニック投稿と同じ形式で表示されるため、ユーザーは広告として認識しにくい傾向があります。「広告疲れ」が指摘される現代において、より自然に情報を受け入れてもらいやすい点は大きな利点です。
⭕️クリエイターの投稿を活用でき、インフルエンサーマーケティングと相性が良い
信頼できるクリエイターの投稿をSpark Adsで活用することで、質の高いインフルエンサーマーケティングを効率的に展開できます。クリエイターが持つ独自の視点や表現力を活かしたコンテンツは、企業の公式メッセージだけでは届かない層にもアプローチ可能です。
⭕️エンゲージメントがそのまま残るため、ブランドの信頼度が向上
広告配信によってさらに多くの「いいね」や好意的なコメントが集まれば、それが社会的な証明(ソーシャルプルーフ)となり、ブランドや商品に対する信頼性を高める効果が期待できます。
⭕️既存の投稿を活用するため、制作コストを削減可能
すでに成果の出ているオーガニック投稿や、クリエイターが制作した投稿を利用できるため、広告クリエイティブの制作にかかる時間と費用を大幅に削減できる場合があります。特にリソースが限られている場合に有効な手段です。
⭕️詳細なターゲティング機能を活用できる
Spark AdsはTikTok広告プラットフォームの一部であるため、年齢、性別、地域、興味関心、行動履歴など、詳細なターゲティング設定が可能です。届けたい層にピンポイントで広告を配信し、費用対効果を高めることができます。
デメリット
⚠️クリエイターとのコラボを行う場合、適切な人選が重要
クリエイターの投稿を活用する場合、自社ブランドのイメージやメッセージに合致し、かつ高いエンゲージメントを持つクリエイターを見つける必要があります。人選を誤ると、期待した効果が得られないばかりか、ブランドイメージを損なうリスクもあります。契約条件やコミュニケーションも重要になります。
⚠️クリエイターの投稿内容に依存するため、ブランド管理が難しい場合も
クリエイターの自由な発想を尊重しつつも、企業として伝えたいメッセージやブランドイメージとの整合性を保つ必要があります。投稿内容の細かなコントロールが難しい場合があり、事前のすり合わせやガイドラインの設定が不可欠です。
⚠️通常の広告と比べてパフォーマンス分析が難しいケースがある
オーガニック投稿としての側面と広告としての側面を持つため、純粋な広告効果だけを切り出して分析するのが、他の広告フォーマットに比べて複雑になる場合があります。オーガニックでの伸びと広告による伸びを区別して評価する工夫が求められます。
3. クリエイターにとってもSpark Adsの活用にはメリットがある?
Spark Adsは企業だけでなく、TikTokで活動するクリエイターにとっても無視できない存在です。自身の投稿がSpark Adsとして活用されることには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット
⭕️企業の広告費で自分の投稿がさらに拡散される(フォロワー増加の可能性)
自分の投稿がSpark Adsとして配信されると、企業の広告予算によって、普段リーチできないような幅広い層のユーザーにも投稿が表示されるようになります。これにより、自身の認知度向上や新たなフォロワー獲得につながる可能性があります。
⭕️自分の投稿のエンゲージメントがそのまま維持される
広告として利用された後も、投稿に寄せられた「いいね」やコメントはそのまま残ります。エンゲージメントが高い投稿は、クリエイターとしての価値を示す指標にもなるため、これが維持・増加することは大きなメリットです。
⭕️ブランドとの長期的なパートナーシップ構築につながる
一度のSpark Adsでの協力が成功すれば、企業から継続的な案件依頼を受けたり、アンバサダー契約につながったりするなど、より長期的で安定した関係性を築ける可能性があります。
デメリット
⚠️企業の広告戦略に投稿が利用されるため、自由度が制限される可能性
広告として利用される以上、企業側の意向(特定のハッシュタグの使用、表現の制約など)がある程度反映される可能性があります。自身のクリエイティビティを100%発揮できない、あるいは普段の投稿スタイルと異なる内容を求められるケースも考えられます。
⚠️適切なブランドを選ばないと、フォロワー離れのリスクがある
自身の世界観やフォロワー層と合わない企業の広告案件を受けると、フォロワーから「お金のため」などとネガティブな印象を受け、エンゲージメントの低下やフォロワー離れを招くリスクがあります。案件選びは慎重に行う必要があります。
⚠️収益化の条件(企業側の審査など)があるため、誰でもすぐに利用できるわけではない
企業は、広告効果を最大化するために、一定のフォロワー数やエンゲージメント率を持つクリエイター、あるいはブランドイメージに合致するクリエイターを選定します。そのため、すべてのクリエイターがすぐにSpark Adsの案件を獲得できるわけではありません。
4. Spark Adsの設定方法(企業&クリエイター向け)
実際にSpark Adsを利用するには、企業側・クリエイター側それぞれで必要な手順があります。ここでは、具体的な設定方法と、クリエイターが案件を獲得するためのポイントを解説します。
企業向け:Spark Adsの出稿手順
①TikTok広告マネージャーに登録
まずは、TikTok広告を管理するためのプラットフォーム「TikTok For Business」のアカウントを作成し、広告マネージャーにアクセスできるようにします。
②適切なクリエイターの選定(または自社投稿を活用)
自社の投稿をSpark Adsとして利用する場合は、パフォーマンスの良い投稿を選びます。クリエイターの投稿を利用する場合は、ブランドとの親和性、エンゲージメント率、フォロワー層などを考慮して、協力をお願いしたいクリエイターを選定し、許諾を得ます。
③クリエイターに「広告承認コード」を取得してもらう
クリエイターの投稿を利用する場合、そのクリエイターにTikTokアプリ内で「広告設定」をオンにしてもらい、対象の投稿に対する「広告承認コード(Ad Authorization Code)」を生成・共有してもらう必要があります。このコードがなければ、企業はクリエイターの投稿を広告として利用できません。(詳しい手順はクリエイター向けで後述)
④Spark Adsキャンペーンの設定
TikTok広告マネージャーで、連携したビジネスアカウントからPullとPushでSpark Adsを作成するには以下の手順になります。
※参照|TikTok広告マネージャーでSpark Adsを作成する方法
- 広告目的を選択
- キャンペーンと広告セットの設定
- 「TikTokアカウントを使用してSpark Adsを配信」を選択
- 連携したビジネスアカウントから既存の投稿を選択するか、広告マネージャーから新しい動画を作成またはアップロードして、連携したビジネスアカウントでSpark Adsクリエイティブとして公開
- PullまたはPushのそれぞれの指示に従ってください
▼ ▼ ▼
【Pull(第三者投稿の活用)の場合】
- 「広告の詳細」で、「TikTok投稿」を選択して、Spark Adsで使用する投稿を選択
- 動画を選択したら、「確認」をクリック
- 残りの広告設定を完了
- 「送信」をクリックして、Spark Adを公開
【Push(自社アカウント投稿の活用)の場合】
- 「広告の詳細」で、「+動画」をクリックして、【アップロード】/【ライブラリから選択】/【クリエイティブツールから動画を作成】の3つから選択
- 動画のアップロード / 作成 / 選択の終了後、必要に応じて「広告としてのみ表示」ボックスにチェックを入れる(これにより、公開した動画は広告としてのみ表示され、おすすめ・検索・ページへの表示はされなくなります。)
- 残りの広告設定を完了
⑤効果測定と改善
広告配信開始後は、広告マネージャーでパフォーマンス(表示回数、クリック数、エンゲージメント数、費用対効果など)を定期的に確認し、必要に応じてターゲティングや予算配分などを調整して、効果の最大化を目指します。
クリエイター向け:広告承認コードの発行方法
企業からSpark Ads利用の依頼があった場合、以下の手順で対応します。
- まず、TikTokアプリのプライバシー設定で「広告設定」のトグルをオンにする必要があります。
- 次に、広告利用を許可したい投稿を選択し、「︙」(その他)メニューから「広告設定」をタップします。
- 利用規約に同意し、「承認(Authorize)」ボタンをタップします。
- 広告として利用を許可する期間(7日、30日、60日など)を選択し、「コードを生成」をタップします。
- 生成された「広告承認コード」をコピーし、依頼元の企業担当者に共有します。
このコードを企業側が広告マネージャーで入力することで、あなたの投稿がSpark Adsとして配信されるようになります。
5. 企業・クリエイターともにWin-WinなTikTok広告戦略
この記事では、TikTok広告のSpark Adsについて、その仕組みから企業・クリエイター双方のメリット・デメリット、設定方法までを解説しました。Spark Adsは、うまく活用すれば企業にとっては効果的なマーケティングツールとなり、クリエイターにとっては新たな収益と成長の機会となります。ぜひ本記事を参考に、Spark Adsの導入・活用を検討してみてください。
6. Q&A
Q1: Spark Adsとは、具体的にどのようなTikTok広告ですか?
A1: Spark Adsは、企業自身のTikTokアカウントや、許諾を得たクリエイターが投稿した既存のオーガニック投稿(通常の動画投稿)をそのまま活用して配信する広告フォーマットです。広告用に新しく動画を作成する必要がない点が特徴です。
Q2: 企業がSpark Adsを利用するメリットは何ですか?
A2: 主なメリットとして、①広告感が少なくユーザーに自然に受け入れられやすい、②クリエイターの投稿を活用し効果的なインフルエンサーマーケティングが可能、③エンゲージメントが維持されるためブランド信頼度が向上しやすい、④既存投稿を使うため制作コストを削減できる可能性がある、⑤詳細なターゲティングが可能、などが挙げられます。
Q3: 企業がSpark Adsを利用する際の注意点はありますか?
A3: クリエイターの投稿を利用する場合、ブランドイメージに合う適切なクリエイターを見つけることが重要です。また、投稿内容のブランド管理や、オーガニックと広告の効果を合わせたパフォーマンス分析の複雑さなどが注意点として挙げられます。
Q4: 企業は、クリエイターの投稿をSpark Adsとして使うために、具体的にどうすればよいですか?
A4: まずクリエイターから、対象投稿の**「広告承認コード」**を発行してもらい、共有してもらう必要があります。その後、TikTok広告マネージャーでキャンペーンを設定する際に、そのコードを入力して投稿を指定します。
Q5: Spark Adsは、なぜ企業とクリエイター双方にとって「Win-Win」と言えるのですか?
A5: 企業は信頼性が高く効果的な広告を展開でき、クリエイターは収益化と自身のコンテンツ拡散の機会を得られるためです。ユーザーにとっても、より自然な形で有益な情報(として受け取られる可能性のある広告)に触れる機会が増える、三方良しの関係を築ける可能性があります。
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